マイナビ転職エージェントTOP > 転職お役立ち情報 > 侍 (SAMURAI) 列伝 > オイシックス株式会社 高島宏平氏 【前編】
オイシックス株式会社 代表取締役社長
高島宏平 氏

おいしくて、体にもいい食品の普及を目指して、2000年に創業されたオイシックス株式会社。 代表取締役社長を務める高島宏平社長は、東京大学大学院在学中から将来の起業をイメージし、大学院修了後は、コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーに就職。 自らを鍛える日々を過ごしてきた。 世界経済フォーラム(ダボス会議)のYoung Global Leadersの1人に選出されるなど、注目を集める高島社長に、働く上で大切にしている考え方などについて伺った。

理由はふたつあります。 ひとつは、他の会社と比較して入社後3年間で、一番有益な勉強ができそうだったからです。 大学院時代、私は友人たちと有限会社コーヘイという会社を立ち上げました。 「インターネットで遊ぶ」ことをコンセプトに、たとえば、格安航空券の販売やシルバーアクセサリーのEコマース、秋田県の小坂町で行った炭鉱サミットの世界同時インターネット中継など、さまざまなことをやってみたんですね。 仲間と一緒に事業を立ち上げて運営していくことは、私にとってとても楽しいことでした。 “こんなに夢中になれるのだから、自分は起業に向いているに違いない”。 私はそう確信を持ったのですが、そのまま事業を行っても、小さな成功はできるかもしれませんが、大きな成功はできないと思いました。 そこで、将来起業するときのために、もっとも有意義な3年間を過ごせそうな会社を探したんです。 3年間と区切ったのは、それが起業したいという私の欲望を抑える限界の月日だろうと思ったからです。 マッキンゼーの面接を受けたとき、社員の平均勤続年数を聞いたら「3年くらい」と教えてくれました。 つまり、3年でみんな何かしらの結果を出すなどして、次のステップに進むような会社だったんですね。 他の業種だと、いっぱしの仕事をさせてもらえるようになるまで、5年、10年は雑巾がけ、みたいなところもあったので、これはいいなと思いました。 ただ、実際には予定の3年より早まり、2年でオイシックスを創業することになりました。
2つ目は、マッキンゼーに入れば、鳥瞰的な視点が得られると感じたことです。 学生ベンチャーの時に理解していた仕事の流れは、「私のことを気に入った誰かが仕事をくれる」といったものでした。 でも、そのような理解では、“この人に好かれると仕事がもらえるから好かれたい”という単純な動機で仕事をすることになってしまいます。 そうではなく、もっと業界全体の様子を把握できるようになりたかった。 ある業界を眺めたときに、その将来性や、力の流れ、また自分のいるポジションなどを確認しながら、自分自身で将来の地図が描けるようにしたかったんです。
ええ。マッキンゼーはコンサルティング会社です。 その道で何十年もやってきている企業に対して、3ヵ月ほどコンサルティングを行うことで結果を出さなくてはいけません。 積み重ねた知識では勝てないけれど、知恵で勝つ。 マッキンゼーはそういったアプローチをする会社なんですよ。 その道何十年の会社では見つけられない戦略を見つけて成果を上げるには、最初の3日で業界全体の動向を把握するなど、スピード感のある動きが求められます。 これは非常に勉強になりましたね。 自分が右も左もわからないような業界に対して、短期間で有効な戦略を提供しなければならないわけですから、ゆくゆく新しいことに挑戦するベンチャーを起業しようと考える私にとっては、もってこいの修行の場となりました。
3年後には起業したい、3年間一番学べるところで働こう、といった考えはありましたが、3年後の具体的なイメージまで固めていたわけではありませんでした。 せいぜい、インターネットを活用した起業をするんだろうなぁというぐらいです。
シンプルですが「一生懸命働く」ということですね。 3年で辞めようと決めているからといって、その3年をまるで練習のようにゆるく考えていたら、身につくものも身につかないだろうと思っていました。 むしろ、3年間お世話になるのだから、同期の誰よりもいい仕事をして、一番出世をして、最高の結果を残して会社に貢献しようと考えました。
そうですね……。 “何をやったらいいかわからないときに、何からやればいいかがわかる”ということだと思います。 学生時代の起業ははじめてのことが多く、立ちはだかる問題をどのようなアプローチで解決していけばよいのかわからないところがありました。 マッキンゼーで働いてからは、未知の領域やトラブルに対しても、どのように問題解決をすればいいかわかったという感じですね。

リーダーになろうと思っている人や、ゆくゆくはリーダーになるような人は、なるべくたくさんリーダーを経験する機会を作っておいたほうがいいと思います。 リーダーシップはオンジョブ以外の方法では、なかなか身に付けづらいのではないでしょうか。 私の場合も、実践の中でさまざまなリーダー像に取り組んできましたから。
リーダー像って千差万別じゃないですか。 野球にたとえると、長島監督、王監督、星野監督は、それぞれ違ったタイプのリーダーですよね。 自分が引っ張っていくタイプのリーダーや、リーダーをたくさん作るタイプのリーダー、陰からみんなを支えるようなリーダーなど、いろんなタイプのリーダーが考えられます。 しかし、『よいリーダー』という点で考えると、私はリーダー像はひとつしかないと思っています。 よいリーダー、それはすなわち“勝つリーダー”です。 “勝てないけどいいリーダー”はありえません。 また、チームは勝つけれど、リーダーはダメだ、なんていうこともありません。 いいリーダーとは常に勝つリーダーなんです。 そして、成長のさまざまなステージの中で勝つリーダーであり続けるためには、ときに引っ張るリーダーになり、ときに支えるリーダーになるなど、自分自身のリーダー像も状況に合わせてスキルアップさせていく必要があると考えています。
先ほど申し上げた通り、場数を踏むしかないと思います。チームの勝利は、目標のハードルを上げればそれだけ難しくなります。 そういった困難な状況に対して、常にチャレンジしていくことが重要なのではないでしょうか。
3年後に起業、という具体的なイメージを持ちながら就職活動を行い、そのプラン通りにオイシックス株式会社を立ち上げた高島宏平社長。 しかし、厳しいコンサルティング会社で働く中で、いつも思い通りの環境で働けたり、成果が上げられたわけでもなかった。 次号は、思い通りの成果を手にするために、高島さんが大切にしている働く心構えなどについて伺いながら、オイシックス株式会社のユニークな問題解決の手段もお伝えします。

オイシックス株式会社
代表取締役社長
高島宏平 氏
1973年、神奈川県生まれ。
98年3月、東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了。
同年、4月マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、東京オフィスにおいてEコマースグループのコアメンバーの一人として活躍する。
2000年5月にマッキンゼーを退社し、同年6月、“一般のご家庭での豊かな食生活の実現”を企業理念に食品販売・食生活サポートを行うオイシックス株式会社設立、同社代表取締役社長に就任する。
07年 企業家ネットワーク主催「企業家賞」受賞、08年 独自性がある優れた戦略を評価する「ポーター賞」を受賞するなど、受賞歴多数。
■オイシックス株式会社
http://www.oisix.com/
■【前編】
3年で誰よりも出世して成果を残し
そして起業しようと考えていた
■【後編】
どのような環境に置かれても
ポジティブに考えることが大切
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